営業マン、営業される。    

駅の喫茶店で待ち合わせた女性は、とってもおしゃれで快活な方だった。             (アパレル系の会社でもやってるのかな?もしかして国会議員とワク)   

「まだ名刺渡してなかったけ?」                                一枚名刺を渡してきた。ジュエリーの会社の営業をしているという。どうりで、首にもいっぱい、そして指には10本の指全部かってくらい指輪がはめられていた。                            (なんか面倒くさい展開になりそう・・・・)

彼女と会ったのは今日で2回目。どうやって知り合ったかと言うと月1回やるイベントだ。駅のイベント会場を一日借りてブースをだして、  

「イベントやってます~」 「無料抽選会で~す。」 「ガチャガチャやって行きませんか~?!」               ひたすら声をかける。勿論イベントに参加して頂いた方には、もれなくアンケートを頂くんだけど。

毎日一人で好きに活動しているので、皆で一緒の活動はちょっと面倒くさい。とは言え、とれたアンケートの枚数を報告しなければならないので、多少は頑張る。半日いて6枚ぐらいのアンケートとれたらまずまず。その中で、再訪出来る人、アポにつながりそうな人となるとごくわずか。

そんな中で 指輪のおばさんは、いやアクセサリー販売の女性は声をかけてくれた。

「○○生命って貯蓄系の保険やってないの?ちょっと資料送ってくれる?」      

相手からプランを見たいと言われることてまず無い保険営業。こんな事言われたらちょーちょーテンション上がる!!   

 「かしこまりました。資料お送りしますのでこちらに連絡先お願いします。」  

かしこまっているが心の中ではガッツポーズ。

早速、資料を作って郵送。後日お電話が来た。

「資料見ました。お話聞きたいのでお会いしましょう~」

やった~!!貰った~!!と久々に高いテンションでアポに向かったのに~。

聞けば、その方は昔保険会社で働いて、結構な役職までいったらしい。親の介護で仕事を辞め、趣味でビーズで指輪作りを始め、自分の指輪をあちらこちらのブースで出品していたら今の社長に出会い、アクセサリーの営業を始めたのだと言う。エネルギッシュで話も面白い。こうゆう人は何をやっても上手行くんだろうなぁ~と思う。 因みにただのアクセサリーでは無く、「チタン」だそうだ。

「肩こりなんかもね、治のよ。この前なんかね、リュウマチで指が曲がってた人がこの指輪はめたらあっという間に治ったの!」

 ぎゃ~面倒な方向に話がいったな~と思う反面、この力強い営業トーク私には無いな~と感心してしまうのだった。そしてクロージング、鞄から指輪をだしてきて 

「これいつも持ち歩いてるのよ。綺麗でしょ。ちょっとはめてみない?」 

【綺麗でしょって】ほぼ鉄色のチタンの輪っかにちょっとだけビーズで飾りがついているだけだし。。。

「15000円なんだけどどうかしら?」  (お~ずばっとくるね~)                                  

「今持ち合わせが無いです。」

「それは今度で良いのよ。」

「ちょっと考えて見ます。」

【ちょっと考えてみます。】今まで何百回も言われたこの台詞を。今日自分が言うことになるとは。

 ちょっと気まずい沈黙が流れた。が、ここで終わってはいけない。今度は私のターンだ。そもそも今日は、私が保険を売りに来たのだ。何クロージングされてんだ!!

何とか保険の話に戻して、とりあえず今日紹介した商品では無く娘さんの名前で一本貯蓄の商品に入ろうかな~?と言うので、

「かしこまりました、またプランを作り直して郵送しますね。ご契約の場合娘さんにもお会いしなければならないので娘さんのご予定も確認頂きたい。」

と言って本日終了。

直ぐに作り直した設計書を郵送したが連絡は、無い。最初に郵送したときはあんなに直ぐに電話くれたのに。

やっぱ指輪買わなかったからな?

と、思いきや忘れた頃にメールが来た。

「連絡遅くなってごめんなさい。プランはとても良いと思いました。娘が忙しくてなかなか時間がとれない。来月だったら時間があると思う」

と言うような内容だった。 

【指輪買わなかったから連絡来なくなったとのかな?】と思った自分が恥ずかしい

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